買い物ついでに「セコマ」でフィールドワーク

買い物ついでに「セコマ」でフィールドワーク

少し前のエントリでも少し触れましたが、今回取り上げるのは北海道ローカルのコンビニでありながら、大手に伍してなお揺るがないシェアを持つ、あのセイコーマート(以下「セコマ」と略します)。

ちなみに「セコマ」は札幌圏でみられる呼称で、それ以外の地域では「セイコマ」と呼ぶのが一般的なようです(どうして? と疑問の向きは、あわせてこの記事もどうぞ)。

では事前知識として、セコマの基本情報と特徴のおさらいから(北海道民は読み飛ばして結構ですw)

  • 1971年創業で、コンビニチェーンとしては日本最古。
  • 元々は酒屋さんということもあり、酒類、特にワインのラインナップが充実。
  • スーパーのように青果や卵を扱っていたりする(店舗により例外あり)。
  • 全体で1,200近い店舗の中には、人口2,000人足らずの過疎地域にあるものも。
  • 100円で買えるパンや惣菜のアイテム数は、他のコンビニをはるかに凌駕。

とまぁ、こんなところでしょうか。

買い物ついでに「セコマ」でフィールドワーク
北海道にくまなく展開する店舗と、それを支える物流ネットワークは、まさに唯一無二。

 

そんな特徴だらけのコンビニですから、セコマを取り上げる記事は結構色々あったりして(ググってみてください)、その中でよく見られるのは

『北のさいはてで蟻が巨象に挑む!異色コンビニチェーンの終わりなき挑戦』

みたいな切り口で書かれた内容ですね。

いわゆるマーケティングないしは流通ビジネス系の読み物に多く、それはそれで悪くはないんですが、ルシダスがそこにもう一本を加えるとしたら何がいいのか? と考えた末、ここは地の利を生かし、買い物ついでのフィールドワーク的観察記で行ってみることにしました。

だって、ルシダス本社から歩いて1分なんだもーん。

いざお店へ!

徒歩1分ということで、およそ80メートル先のセコマに着きました。外観で目につくのは目にも鮮やかなオレンジ色のサイン。一見鳩のように見える白抜きの鳥は、実はフェニックス(不死鳥)なんだそう。

会社の近くのこのお店(千代ケ岡店)の場合、営業時間は6時から24時までで、お世辞にも都会とはいえないこのロケーションにしては十分すぎるほどワイドな営業時間です。
無理に24時間営業にしないというのも、周囲やお店の実情に合わせて柔軟に決められるんですね。

今回時間の都合で許可が間に合わず、撮影できなかった店内の写真をご覧になりたい方はこちらの記事もあわせてどうぞ!

 

「いらっしゃいませ! セイコーマートへようこそ!(そう挨拶されます)」の声に迎えられ店内に入ると、正面にはお酒コーナーとは別にあるワインの棚、そしていわゆるコンビニ定番の品々に、セコマブランドのものが目につきます。

お菓子や飲み物、アイスはもとよりお惣菜、おつまみ、卵や野菜、果物、お肉、お米やお酒、雑貨に至るまで、聞くところではその種類実に約1,000品目以上あるとのことで、しかもみな安い!
……で、ワタクシが手に取ったのは「山わさび塩ラーメン」。

こんなカップ麺に出会えるのも、セコマならではの楽しみといっていいでしょう。

これがその『山わさび塩ラーメン』

 

じつはこのお店からさらに300メートルほど進んだ場所に競合する大手コンビニチェーンのお店がありまして(2番目の写真の左端をよーくご覧ください)、そことの比較で気づいた、セコマを特徴づけるものをあれこれ列記すると……

  • 平均的に価格表示やPOPの文字が大きい(気がする)。
  • コーヒーやドーナツはないけど、店内で調理する「ホットシェフ」がある(ただこれ、千代ケ岡店にはありません)。
  • お客さんの平均年齢と長靴率がやや高め。
  • レジ打ちの際に、お客さんがスタッフさんとナゴヤカに談笑していたりする。
  • 店内には電子レンジのほかに、ポットに入ったお湯がある。
  • 道路を挟んで向かいにある郵便局とセットで、買い物の用足しに寄るお客さんが結構いる模様。

……こんな感じで、近くの競合店に比べ「地元密着の商店」というカラーが、店内からもよりハッキリ看て取れたのでした。

そして職場へ

店を出て職場に戻り改めて思ったのは、セコマが昔の商店がもつ雰囲気と機能をうまく引き継ぎながら、それを現代風のコンビニという形に仕立て直しているなぁという印象。

文字数の関係で、その背景にある戦略などを詳しく深掘りできないのが残念ですが、あちこちで言われているように「広くて寒くて食材豊か」という北海道で生き残るため、その地域特性に徹底的に合わせてお客さんの満足を追いかけながら変わり続けることが、セコマにとってのマーケティングなのではないかと思います。

例えばスーパーもないような過疎地でその役割も担うなど、他の地域にはない北海道特有のニーズに応えるための柔軟さを身上としながらも、一方で、ブランドを維持するために最低限必要なベースライン(共通項)もしっかり守っているあたりは、かなり高度なバランス感覚に基づく判断なのではないでしょうか。

多少の違いや例外はあるにしても、コンビニ大手の全国チェーンが全店均一の品揃えを特徴(ないしは強みのひとつ)としてきたのに比べ、ここは際立った違いだと思います。

そう考えると過疎地への出店も単なる男気や義侠心からでなく、血の通ったビジネス戦略に裏打ちされたものだったのでしょうし、そうした取り組みの積み重ねの結果が、今のセコマなんでしょうね。

セコマだけでなく、北海道を商圏として成功するための鍵は「北海道特有の色々な事情をどうやってビジネスの味方につけていくか」ということに尽きます。

そんな北海道での事業展開には、北海道の事情を裏表まで知るルシダスをぜひお役立てください!

執筆者プロフィール

本田 一彦
本田 一彦
学校では音楽関係の勉強をしてきたにもかかわらず、写植オペレーター兼版下フィニッシャーとして、約30年前にそのキャリアをスタート。工場にゴロゴロいた、もと活版…[続きを読む]

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