「前回のやつを複製で!」が運用を壊していく話

「前回のやつを複製で!」が運用を壊していく話

毎月家計簿を付けるとき、先月分を複製してから記録を始めている五十嵐です。変わらない支出も多く、入力の手間を省けるからです。

一度うまくいった方法をそのまま使うのは、日常でもよくあることです。実はAdobe Marketo Engage(以下、Marketo)の運用現場でも、同じようなことが起こります。

みんなこうしてるし、今回のLPも複製でいいか

もしあなたが前任者からMarketoを引き継いだばかりで、まだ環境全体を把握しきれていない担当者だったら、と想像してみてください。
そんな時、新しい施策向けのランディングページ(以下、LP)の作成を依頼されました。内容は過去のLPと大きく変わらず、納期にも余裕がないため、まず既存のLPアセットを流用できないかと考えるのではないでしょうか。過去の担当者も同じように運用していたように見えます。

公開実績のあるLPアセットを複製する方が、新しく作成するより早く安心感もあるため、「前回のものを流用しよう」という判断はごく自然です。

しかしLPの目的は似ていても、「今回はCTAボタンの色だけ変えたい」「この文言を別の言い回しにしたい」といった細かな要件は異なるため、その都度個別の修正を加えることになります。一つひとつは小さな変更なので、この時点では特に問題はないように見えるでしょう。

気づけば環境が複雑化、どこがどうつながっているのかわからない

こうした対応を繰り返すうちにLPアセットごとの差分が増え、修正箇所も統一されなくなります。トークンで管理されていた文言が直書きに変わっていたり、ボタンなどのスタイルも異なっていたり。元は同じLPアセットだったはずなのに、徐々に別物になっていくのです。

加えて厄介なのが、LPの修正時に表示内容だけを確認し、設定画面までは細かく見ないことで起こる見えない変更漏れです。ページタイトルやCTAの遷移先、不要な記述が複製元のまま残っていても、見た目に問題がなければ気づかれません。

「今まで問題なかったし、今回も大丈夫だろう」
そんな小さな積み重ねが、少しずつ環境を複雑にしていくのです。

問題は複雑さではなく、「何が正しいのか分からなくなること」

ここで本当に困るのは、環境が複雑になること自体ではありません。どれが正しい状態なのかが分からなくなってしまうことです。

この状態では小さな変更でも毎回確認や調査が必要になり、どのLPアセットを複製すべきか迷って判断できる担当者への確認も増えていきます。そしてLPアセットごとの差異が増えるほど、確認すべきポイントも変わっていきます。ページタイトルやCTAボタンの遷移先、トークン管理されていた文言が一部だけ直書きになっている箇所など、LPアセットごとに確認すべきポイントが異なることで、変更漏れや設定ミスが起こりやすくなります。

フォームやスニペットを共通化したくても一部のLPアセットだけ独自の修正が入っていて一律に差し替えられず、テンプレートを一度改修すれば済む内容でも影響範囲を判断できないため、LPアセットごとに同じ修正を繰り返すことになり、やがて運用改善そのものも難しくなります。

確認作業が増え、ミスが起きやすくなり、最後には改善まで止まってしまう。
これこそが、何が正しいのか分からない状態が招く本当の問題なのです。

だからこそ必要なのは「複製しても迷わない仕組み」だった

だからといって複製運用そのものをやめる必要はありません。必要なのは複製を前提にしたルールを作ることです。常に「これが正しい」と言える複製元となるLPアセットを用意し、編集できる箇所を明確にすることで、担当者ごとの判断に頼らない運用ができます。

複製用LPアセットは一度作って終わりではなく、運用で得られた改善を反映して最新の状態を保ち、「実際の運用とのずれ」をなくしていくことが重要です。繰り返し発生する修正を共通化することで、複製運用のメリットを維持できます。

「複製しない」のではなく、「誰でも迷わず複製できる」
将来の担当者が迷わない環境を作ることが、運用負債を防ぐ第一歩です。

「現在の運用が不安だけれどどこから整理すればいいのか分からない」「LPアセットや運用ルールを見直したい」とお悩みでしたら、ぜひルシダスへご相談ください。

執筆者プロフィール

五十嵐槙子
五十嵐槙子
新潟市出身。新潟の大学で美術を学び、卒業後は新潟の企業に就職していましたが、クリエイティブな仕事への憧憬を捨てられずに退職。デザインとWEB制作を勉強しつつ…[続きを読む]

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